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におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)
目次
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)について
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)は、各工程のにおい環境を記録(収着)し、オフフレーバーの原因の特定に寄与します。
企画立案:サントリーホールディングス株式会社・TOPPAN株式会社
製造販売:林純薬工業株式会社
オフフレーバーの原因特定
オフフレーバー問題が発生した場合、問題解決のためにはオフフレーバーの発生原因を早急に特定しなければなりません。
一つの製品において、オフフレーバーが発生する可能性のある工程は、原料、製造、物流・保管、販売店舗、お客さまに製品が渡った後など、多岐にわたります。どの工程でオフフレーバーが発生したかを一から検証していくことは、非常に難しい作業です。
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)は、環境中のにおい物質を記録(収着)することができます。におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)を、製品の原料、製造、物流・保管、販売店舗の各工程で使用し、におい環境の変化をモニタリングすることで、オフフレーバーが発生した工程と原因を特定し、迅速に対応できる可能性があります。
におい収着の仕組み
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)は、特殊な樹脂を使用しており、におい物質を「収着」しやすいという機能があります。
収着とは、におい物質が固体(樹脂)表面に結合すると同時に、固体内部まで拡散吸収される現象をいいます。
収着されたにおい物質は、溶出し取り出すことができるため、嗅覚による官能評価だけでなく、溶媒に浸漬してにおい物質を抽出し、GC-MSなどで精密分析することも可能です。
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)の活用方法
オフフレーバーは、製品の設計からお客さまに渡った後に至るまでの各工程で発生するリスクがあります。
設計段階では包材のバリアー性の確保、原料購買時には精製不足や時間の経過による状態変化、製造段階では使用する設備や周辺環境の雰囲気、物流では倉庫・パレット・コンテナー内の環境、販売時には混載や混在、製品がお客さまに渡った後は保存環境など、さまざまなシーンにおいてリスクが考えられます。
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)は、オフフレーバーが発生しやすい環境での使用が有効です。
設置場所の事例
物流におけるSOSフィルムの設置場所の例として、コンテナや倉庫内があります。
コンテナや倉庫内は閉ざされた空間となりやすいため、製品の近くににおい物質を含む混載品があったり、使用するコンテナに過去の積み荷のにおい物質が残っていたりすると、オフフレーバーが発生するリスクが高まります。
また、防虫剤のナフタレン等が使用されている環境、かび臭の原因となる2,4,6-トリクロロアニソール等が塗布された製品移送用の木製パレットなども、オフフレーバーが発生する要因になります。
また、作業場所でも同様のリスクが考えられます。
塩素系の消毒液で消毒を行った後、消毒後の洗浄不足によって残留した消毒液による汚染、作業者からの汚染が発生することもあります。
- ・前荷や混載品からの汚染
- ・木製品からのかび臭
- ・コンテナ内部での防虫汚染
- ・消毒後の汚染
- ・作業者からの汚染
- ①他の原料などの混入
- ②酸化や微生物の活動による変質
- ③香料の配合の不具合や加熱の過不足によるにおい成分の不均衡
- ④食品用梱包材料やインクのにおい
- ⑤保管時のにおいの移り
におい物質の持ち運びや保管が可能
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)は一度収着したにおいをパウチ内で密閉するため、におい物質の持ち運びや保管ができます。
製品出荷のタイミングで異臭がなかった場合でも、万が一のために工程ごとの環境のにおいをにおい成分記憶フィルム(SOSフィルム)で保管することができます。
消費者の手に渡った後でにおいの問題が発生した場合、保管したにおい成分記憶フィルム(SOSフィルム)を精密分析することで、迅速に原因特定できる可能性があります。また、自社工程で問題がなかったことを判定できる場合もあります。
さまざまなプロセスへの活用
においの共有や記録
- ・容器包装から発生した異臭の質を共有化したい
- ・開発品や試作品の香りの質(特徴)を記録したい
- ・社内教育で特殊なにおいのトレーニングをしたい
製造プロセスや保管場所での管理
- ・製造場での雰囲気着香、プロセス着香を管理したい
- ・製品・半製品からクレゾール臭や塩素臭がする
- ・倉庫やコンテナ内がかび臭や薬品臭に汚染された
- ・限られたルートだけから異臭がする
- ・輸入原料からナフタレン臭やかび臭がする
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)の使用手順
- 商品を開いて、SOSフィルムの入ったアルミパウチを取り出します
- チャックシールを開き、ピンセットを使ってSOSフィルムを取り出します
- SOSフィルムを台紙にセットします
- におい物質を検知したい場所に設置します
- 一定期間が経過した後、SOSフィルムを回収し、元のアルミパウチに戻します
- パウチを開けて官能評価を実施します
この際、オフフレーバーキットなどで「異臭の学習」を行っておくと官能評価の参考になります
フィルムはファイリングして保管してください。
問題が発生した際は、SOSフィルムを溶媒に浸漬してにおい物質を抽出し、GC-MSなどで精密分析を行うことも可能です。
におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)の使用方法
※ 目的によっては手袋のにおいが妨害となる可能性があります。
その場合は、石鹸などを使わず水やお湯のみで洗浄した手で作業してください。フィルムは直接手で触らないでください。
使用環境やにおい物質の種類によって、におい成分記憶フィルム(SOSフィルム)へのにおいの収着度合いが変化することがあります。実際にお使いの環境で十分な検証を行った上でご使用ください。