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試薬の安定性(JIS K No.8487~)

試薬は、一般的に製造直後から徐々に劣化するもので、安定性(経時変化)については、試薬の種類により異なります。各種試薬について経時変化を起こす要因、及び貯蔵方法を下表にまとめましたので、保管・輸送時のご参考にして下さい。

JIS K No.※品名変化を起こす要因貯蔵方法備考
湿気酸素二酸化炭素温度分解(自然)その他冷所遮光気密その他
8487ジフェニルアミンしだいに着色する
84881,5-ジフェニルカルボノヒドラジド(ジフェニルカルバジド)空気中で次第に白色~微黄色→紅色になる。
8490ジチゾン酸化される
84912,6-ジブロムキノンクロルイミド吸湿性
8493N,N-ジメチルアニリン徐々に着色して、赤色~赤褐色となる
8500N,N-ジメチルホルムアミド吸湿性
8502臭化アンモニウム吸湿性、徐々に着色
8508臭化シアン重合する、常温で揮散
8509臭化水素酸褐色を増す
8513臭化水銀(Ⅱ)
8514臭化ナトリウム吸湿性(潮解しない)
8518二クロム酸ナトリウム二水和物有機物潮解性
8529臭素密封揮発
8533酒石酸アンチモニルカリウム乾燥空気風化する
8534酒石酸アンモニウムアンモニアを放出
8541硝酸光にさらすと、徐々に黄又は赤みの黄に変わる。(No2生じる)
8543硝酸亜鉛潮解性
8544硝酸アルミニウム九水和物潮解性
8545硝酸アンモニウム吸湿性
8546硝酸ウラニル乾燥空気風化する
8549硝酸カルシウム潮解性
8550硝酸銀
8552硝酸コバルト潮解性
8556硝酸セリウム(Ⅳ)アンモニウム潮解しやすい
8557硝酸水銀(Ⅰ)
8558硝酸水銀(Ⅱ)潮解性、空気中で塩基性塩になりやすい
8559硝酸鉄(Ⅲ)九水和物潮解性、空気中で褐色に変わりやすい
8560硝酸銅(Ⅱ)三水和物潮解性
8561硝酸トリウム潮解性、放射能がある
8562硝酸カリウム潮解性
8564硝酸ニッケル潮解性
8567硝酸マグネシウム六水和物潮解性
8568硝酸マンガン(Ⅱ)六水和物潮解性、4水和物の融点は32℃、6水和物の融点は26℃
9068硝酸リチウム潮解性
8575水酸化カルシウム空気中のCo2を吸収して次第に炭酸カルシウムに変わる。
8574水酸化カリウムCo2を吸収、湿気により潮解する
8576水酸化ナトリウムCo2を吸収、湿気により潮解する
8577水酸化バリウムCo2吸収性が強い
8587アミド硫酸(スルファミン酸)
8588アミド硫酸アンモニウム(スルファミン酸アンモニウム)吸湿性
85895-スルホサリチル酸二水和物吸湿性
8613炭酸アンモニウム徐々に分解、アンモニアを放出する
8615炭酸カリウム吸湿性が強い
8624炭酸ナトリウム十水和物乾燥空気風解しやすく、約32℃で融解する
8625炭酸ナトリウム吸湿性
8630メルカプト酢酸(チオグリコール酸)密封長期間の保存に耐えない
8631チオグリコール酸ナトリウム長期間の保存に耐えない、吸湿性
8637チオ硫酸ナトリウム五水和物乾燥空気(風化)湿った空気中で潮解する
8638チオ硫酸ナトリウム吸湿性
8650テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(10%)Co2吸収
8659でんぷん(溶性)常温で長期保存すると、分解してフェーリング溶液還元性物質が生成する場合がある。
8660徐々に緑色となる
86632,2',2"-ニトリロトリエタノール (トリエタノールアミン)吸湿性があり、Co2を吸収する。寒冷時には凝固することがある。
8666トリクロロエチレン徐々に分解、アンモニアを放出する塩酸を生じる。
8667トリクロロ酢酸潮解性
86683,3’-ジメチルベンジジン(o-トリジン)着色する
8669o-トリジン二塩酸塩着色する
8679p-トルイジン徐々に着色する
8681p-トルエンスルホン酸潮解性
8689ナトリウムペンタシアノアンミンフェロエート
8692α-ナフチルアミン着色する
8694N-1-ナフチル-N-ジエチルエチレンジアミンしゅう酸塩着色する
8695β-ナフトキノリン
86981-ナフトール着色する
86992-ナフトール着色する
87155-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン着色する
8731尿素やや潮解性あり。
8732二硫化炭素火気を避ける徐々に黄色となる
8738ヒドロキノン空気中でしだいに着色する(灰色~微褐色)
8757パントテン酸カルシウム吸湿性
8770三酸化ナトリウムビスマス(ビスマス酸ナトリウム)分解
8777ピリジン吸湿性、徐々に赤褐色となる
8780ピロガロール水溶液は空気中で次第に褐色に変わる。
8783二硫酸カリウム(ピロ硫酸カリウム)潮解性
8785二りん酸ナトリウム十水和物[ピロりん酸ナトリウム(十水和物)]乾燥空気風化性
8787ピロールしだいに褐色~暗褐色となる
8795フェニルヒドラジン赤色となる
8797p-フェニレンジアミン着色する(淡黄色のものが1年で微黄褐色となる)
8798フェノール空気に触れると徐々に紅を増す。
8801フェリシアン化カリウムフェロシアン化カリウムの生成
8804フクシン
8815ふっ化カリウム吸湿性
8830フルオレセインナトリウム吸湿性
8833フルフラール着色する。無色のものは市販できないため、無色のものが必要な場合は使用者が蒸留して用いる
8837プロピレングリコール吸湿性
8850ヘマトキシリン(n水和物)着色する
8853ベンジジン白色~微紅色→暗色になる
8854ベンジルアルコール空気中で酸化され安息香酸となり、着色する
8857ベンズアルデヒド空気中で酸化され安息香酸となる
8858ベンゼン揮発性
8860ベンゾインαオキシム着色する
8866四ほう酸ナトリウム十水和物(ほう砂)乾燥空気風化性
8871ヒドラジン一水和物吸湿性、空気中で発煙
8870ニンヒドリン
8872ホルムアルデヒド液なるべく温所長期保存するとパラホルムアルデヒドが生成する。寒冷時には濁る。
8873ホルムアミド吸湿性があり、湿気により加水分解しアンモニアとぎ酸になる。
8875マグネシウム酸化される
8876マグネシウム末酸化される
8878マラカイトグリーン(しゅう酸塩)光により急速に退色する
8887無水フタル酸吸湿性
8888無水マレイン酸吸湿性
8891メタノールアルデヒドを生じる
8892メタりん酸ナトリウム潮解
8897メチレンブルー26℃で二水和物になる
8899モノクロロ酢酸潮解性
89002-ブタノン(メチルエチルケトン)酸を生じる
89034-メチル-2-ペンタノン(メチルイソブチルケトン)酸を生じる
9057二亜硫酸カリウム(ピロ亜硫酸カリウム)空気中で徐々に酸化されて硫酸カリウムになる。
8501二亜硫酸ナトリウム(ピロ亜硫酸ナトリウム)空気中で徐々に酸化されて硫酸ナトリウムになる。
8910よう化アンモニウム潮解し、分解してよう素遊離する
8911ヨードエタン(よう化エチル)密封よう素を遊離し褐色となる
8919ヨードメタン(よう化メチル)密封よう素を遊離し褐色となる
8913よう化カリウムよう素を遊離し褐色となる
8921よう化カドミウム長く空気に触れると黄色となる
8918よう化ナトリウム長く空気に触れると潮解する
8916よう化水銀(Ⅱ)(赤色)深赤色~淡赤色になる
8917よう化水素酸密封よう素を遊離し褐色となる
8943硫化アンモニウム溶液(無色)全満自動酸化をして分解する
8949硫化ナトリウム九水和物潮解性。長期間保存すると黄色を帯びる。
8951硫酸粘性があり、強く水分を吸収する。
8953硫酸亜鉛七水和物乾燥空気乾燥した空気中で徐々に風解する。
8955硫酸アニリン着色する
8958硫酸アルミニウム吸湿性
8961硫酸カドミウムn水和物徐々に風化する
8965硫酸銀
8972硫酸水素カリウム吸湿性
8973硫酸水素ナトリウム吸湿性
8978硫酸鉄(Ⅱ)七水和物 乾燥空気湿った空気中では徐々に酸化し黄褐色、風解する
8980硫酸水銀(Ⅱ)
8981硫酸鉄(Ⅲ)吸湿性
8982硫酸鉄(Ⅲ)アンモニウム・12水乾燥空気空気中で風解する。
8983硫酸銅(Ⅱ)五水和物乾燥空気乾燥した空気中で徐々に風化する。
8984硫酸銅(Ⅱ)吸湿性が強い
8986硫酸ナトリウム空気中で風解しやすく、約32℃で溶融する。
8987硫酸ナトリウム(無水)吸湿性が強い
8989硫酸ニッケル(Ⅱ)六水和物風解する。
8997硫酸マンガン30℃以上で融解
8999硫酸-p-メチルアミノフェノール着色する
9002チオシアン酸ナトリウム潮解性
9009りん酸二水素ナトリウム二水和物 吸湿性
9012りん酸三ナトリウム・12水乾燥した空気中で徐々に結晶水が減少する。
9016りん酸水素二アンモニウム(りん酸二アンモニウム)空気中で徐々にアンモニアを放出
9017りん酸水素二カリウム強い吸湿性
9019りん酸水素二ナトリウム・12水乾燥空気空気中で徐々に風解する。
9020りん酸水素二ナトリウム吸湿性、2分子または7分子の水分を吸収する
9032レゾルシン着色
9044N-エチルピペリジンCo2を吸収する
9060塩化ランタン七水和物吸湿性
9065パラホルムアルデヒド
9067クロム酸銀
9502L-(+)-アスコルビン酸 (ビタミンC)長期間保存するとうすい黄に着色することがある。
9705テトラヒドロフラン(酸化防止剤BHT添加)酸化されて、徐々に過酸化物を生成する。
9705テトラヒドロフラン(無添加)酸化されて、過酸化物を生成する。

JIS K No.8013~はこちら

※旧JIS品含む

試薬ガイドブック 第6章 試薬の安定性(経時変化)参照
JIS試薬ハンドブック 参照