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容量滴定法

目次

容量滴定法とは

カールフィッシャー法による水分測定は、ヨウ素(I2)と水(H2O)が一定の割合(1:1)で反応することを利用します。
容量滴定法は、サンプル中の水分と反応した滴定液の量(ヨウ素の消費量)から、水分量を求める方法です。

特徴

  • 測定可能な水分量は1㎎以上
  • 妨害反応への対応策が多い
  • サンプルの溶解に適した脱水溶剤の使用が可能である
  • pHの調整が容易

測定の原理

容量滴定法

サンプルの水分量を求めるには、「サンプル量」、反応に要した「滴定液の滴定量」に加え、「滴定液の力価」が必要です。
滴定液の力価とは、滴定液1mLと反応する水分量のことであり、単位は「mgH2O/mL」で表されます。

力価を測定した滴定液を使用して、水分がすべて反応するまで滴定し、反応に要した滴定液の滴定量を求めます。求めた滴定量から、下記の計算式でサンプルの水分量を求めます。

水分量(%)の計算式
サンプルの水分量(%)
=
滴定液の力価(mgH2O/mL)× 滴定液の滴定量(mL)
サンプル量(mg)
×
100

必要な滴定液とサンプル量の目安

滴定に必要な滴定液やサンプル量の目安は、以下の通りです。

滴定装置(ビューレット)の容量:10mL
滴定液の力価:5mgH2O/mL
サンプルの水分予想値:2% の場合

滴定液の使用量 2~8mL(ビューレット容量の20~80%程度)
サンプル量 0.5~2.0g(水分量10~40mg)

力価の測定

容量滴定法では、滴定する前に滴定液の力価を測定する必要があります。力価を正確に測定することで、サンプル中の水分量を正確に求めることができます。力価の測定の精度が十分でないと、サンプル中の水分量の滴定結果に誤差が生じるので注意が必要です。

滴定液の力価の求め方

滴定液の力価を求めるためには、既知量の水分を含む水標準品、または純水などを標準物質として使用します。
これらの標準物質を使用し、力価を求めたい滴定液で滴定することで力価を求めることができます。

力価(mgH2O/mL)の計算式
滴定液の力価(mgH2O/mL)
=
既知の水分量(mg)/滴定量(mL)

Point定期的な力価の測定が必要です

滴定液の力価は、大気中の湿度やヨウ素の揮発などによって、徐々に低下していきます(未開封でも同様)。
正確な水分測定のためにも、定期的に力価の測定を行いましょう。

水標準液について

標準物質として純水を使用する場合は水分が100%であるため、添加量が極微量(30㎎程度)に制限され、秤量の際の測定誤差が生じやすくなります。
一方、水標準液は、水分含有量が低いため添加量を増やすことができ(1g程度)、測定誤差が生じにくいメリットがあります。さらに、水分値が保証されている水標準液を使用すれば、トレーサビリティを確保することができます。

Point第十八改正日本薬局方で新たに規定された「測定の適合性」では“測定結果の妥当性”を検証する必要があります

2021年6月3日に施行された第十八改正日本薬局方において、新たに「測定の適合性」が規定されたため、水標準液のような水分量既知の溶液を使用する際は、認証されたトレーサブルなものを使用する必要があります。
第十八改正日本薬局方の詳細については、以下のページをご覧ください。

トレーサブルな標準液、CRM水標準品|第十八日本薬局方の改正

容量滴定法に必要なカールフィッシャー試薬

必要な試薬

容量滴定法では、滴定液と脱水溶剤を使用します。一液型と二液型がありますが、国内では一液型が主流です。

一液型

一液型は、滴定液と脱水溶剤を使用します。滴定液の中に測定に必要な主成分がほとんど含まれるタイプであり、国内では主流です。

  • 滴定液 滴定液としては、ヨウ素(I2)、二酸化硫黄(SO2)、塩基性物質(2-メチルイミダゾールなど)を含んだ試薬を使用します。二酸化硫黄や塩基性物質は、水との化学反応を促進させるために加えるものです。
  • 脱水溶剤 脱水溶剤は、サンプルを溶解して水分を抽出するための溶剤です。また、反応に必要なアルコールを供給する役割もあり、メタノール(CH3OH)などを主成分とした脱水溶剤が使用されます。

二液型

二液型は、滴定液と反応促進剤を含む脱水溶剤を使用します。石油製品の水分測定など、特殊な場合に使用されます。

滴定液と脱水溶剤の組み合わせ

滴定液と脱水溶剤には、さまざまな種類の試薬があり、目的に応じた適切な試薬を選ぶ必要があります。医薬品、石油製品、糖類、プラスチックなど、測定したいサンプルによって選定します。また、メタノールやクロロホルムなどを含むカールフィッシャー試薬を使用する場合は、取り扱いには十分注意しなければなりません。
試薬の種類や選び方などの詳細は、「容量滴定法用試薬ガイド」のページをご覧ください。

容量滴定法用試薬ガイド

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