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トレーサブルな標準液、CRM水標準品|第十八日本薬局方の改正

第十八改正日本薬局方の水分測定法(カールフィッシャー法)が改正

2021年6月7日に第十八改正日本薬局方(厚生労働省告示第220号)が告示され、一般試験法にある水分測定法(カールフィッシャー法)が改正となりました。
カールフィッシャー法は信頼性の高い水分測定法として、製薬・医薬品、化学製品、食品など幅広い分野で使われていることから、各業界で改正内容に則った対応が求められます。

今回の改正により、水分測定用試液の柔軟な使用が認められた一方、測定者自身が測定結果の妥当性について検証する必要があります。
以下、主な改正内容について、ご紹介いたします。

容量滴定法

(1) 水分測定用試液の調製

これまでは水分測定用試液の調製法について、具体的な方法が規定されていましたが、改正後は「適切に調製された水分測定用試液を用いる」とされ、1点だけ例示されているだけです。

つまり、市販されている試薬などの使用が認められ、柔軟な対応が可能となったといえます。

改正前(第十七改正日本薬局方) 改正後(第十八改正日本薬局方)
1.3.1.1. 調製
次のいずれかの方法により調製する。なお、安定化等の性能の向上を目的として添加剤を追加する場合は、規定の方法と同等の結果を与えることを検証した上で使用することができる。
  • (ⅰ) 調製法1:<略>
  • (ⅱ) 調製法2:<略>
  • (ⅲ) 調製法3:<略>
1.2.3. 水分測定用試液の調製及び標定
(1) 調製 適切に調製された水分測定用試液を用いる。例えば、ヨウ素63gを水分測定用ピリジン100mLに溶かし、氷冷する。次に乾燥二酸化硫黄を通じ、その増量が32gに達したとき、水分測定用メタノールを加えて500mLとし、水分測定用試液とする。ただし、他の適切な水分測定用溶媒や水分測定用塩基を用いても水分測定用試液を調製することができる。
水分測定用試液は、遮光して湿気を避け、冷所に密栓して保存し、24時間以上放置した後に用いる。

(2) 測定の適合性

改正により、新たに「測定の適合性」が規定されました。

規定では、電極などの装置構成や水分測定用の溶媒・試液の種類など、試験条件を変更する場合に、適合性試験により、妥当性を検証することとされています。

これは容量滴定法だけではなく電量滴定法にも規定されているものです。

例えば、水分測定用試液などを切り替える場合は、適合性試験を行い、妥当性を適切に評価しなければなりません。

ここでポイントとなるのは「水標準液」です。

適合性試験では、「水又は水分量既知の溶液」を添加して水分量を測定しなければなりませんが、水分量既知の溶液については「認証されたトレーサブルな市販の標準液の購入により得ることができる」とされています。

水分量既知の標準液溶液使用は、効率的に測定できますが、認証されたトレーサブルな標準液を使用する必要があります。

よって今回の改正に対応するためには、適合性試験に使用する標準液の信頼性を、どのように確保するかが重要となります。

改正前(第十七改正日本薬局方) 改正後(第十八改正日本薬局方)
容量滴定法<規定なし>
1.4. 測定の適合性
電極などの装置構成及び水分測定用の溶媒・試液の種類を変更するなど、試験条件を変更する際に、又は必要に応じて定期的に、適切な測定の適合性試験を行い、容量滴定法の装置/試薬システムの妥当性を検証する。
一例として、5~30mgの水分を含む試料に対して、次のような手順により測定の適合性試験を行う。
まず、設定された装置/試薬システムを用いて、試料中の水分含量を測定する。その後、同じ滴定フラスコ中で、試料中の測定した水分量の50~100%に相当する量の水又は水分量既知の溶液を添加し、水分量を測定する。水分量既知の溶液は、認証されたトレーサブルな市販の標準液の購入により得ることができる。この操作を5回繰り返し、それぞれの添加操作ごとに、次式を用いてそれぞれの水分回収率r(%)を求める。<以下省略>
電量滴定法<規定なし>
2.4. 測定の適合性
電極などの装置構成及び水分測定用の溶媒・試液の種類を変更するなど、(中略)
試料中の予想水分量により近い約1000μg又は約100μgのいずれかの水分を含む水又は水分量既知の溶液を添加し、水分量の電量滴定を行い、その回収率を求める。
水分添加量が1000μgの場合、回収率97.5~102.5%の範囲内に、水分添加量が100μgの場合、回収率90.0~110.0%の範囲内にあれば、装置/試薬システムは、試料に対して適切な水分測定システムであると判定する。

Honeywell社製 HYDRANAL™CRM水標準品のご紹介

Honeywell社製 HYDRANAL™CRM水標準品

第十八改正日本薬局方で規定された、適切な測定の適合性試験を行って装置/試薬システムの妥当性を検証するためには、水分量既知の「認証されたトレーサブル」証明された標準液を使用することは、規定に確実に適合するだけでなく、信頼性のある測定結果を得ることにつながります。

そこで、Honeywell(ハネウェル)社の HYDRANAL™(ハイドラナール)CRM水標準品についてご紹介いたします。

特長

認証標準物質(CRM)

HYDRANAL™CRM水標準品は、認証標準物質(CRM/Certified Reference Material)であり、カールフィッシャー容量滴定法または電量滴定法を用いて、ISO Guide34及びISO/IEC 17025に基づき製造、保証されたものです。
添付される検査成績書(CoA)には、保証値、包括的情報、不確かさ計測、ロット固有値、保証期限、保管情報などが記載されています。

信頼性の高いトレーサビリティ

HYDRANAL™CRM水標準品は、基準点としての役割を果たし、SI単位や高純度標準物質にトレーサブルなものです。
また、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)やNMIJ(日本計量標準総合センター)などの国際計量機関で承認された標準物質で検証されています。トレーサビリティに加え、明確な質量分率と不確かさの高精度測定も検査成績書(CoA)に表示されています。

使用するメリット

CRM以外の標準液や水を使用した場合、自ら妥当性を証明する必要があり、信頼性の確保や証明の手間を要するなどの課題が考えられます。
本製品はCRM水標準品であり、信頼性の高いトレーサビリティが保証されています。また、製品ごとに検査成績書(CoA)が添付されているため、妥当性を証明する場合などにお役立ていただけます。

使用例

医薬品の研究開発、品質管理部門、保健所などの公共機関など、より信頼性の高い測定が求められる場合にご活用ください。

推奨試薬例

容量滴定法 力価検定及び測定の適合性
電量滴定法 測定の適合性

製品のご購入・お問い合わせ

林純薬工業株式会社は、ハネウェル社(日本法人 ハネウェルジャパン株式会社)と日本国内における販売総代理店契約を締結しており、同社の提供するカールフィッシャー水分測定用試薬の販売、マーケティング及びカスタマーサポートを行っております。

製品のご購入・ご質問については当社営業担当または販売店までお願いいたします。また直接ご購入をご希望の場合、本サイト(試薬ダイレクト)のお取引会員登録後にご注文いただけます。

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