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水道水質・環境分析セミナー2023
本ウェビナーは終了しました
林純薬工業株式会社は、2023年4月25日(火)・4月26日(水)の2日間、アジレント・テクノロジー株式会社と共催で水道水質分析および環境分析などの最新情報を提供するセミナーを開催いたしました。
- 開催趣旨
- セミナーの特別講演には、国立医薬品食品衛生研究所 小林 憲弘 氏と産業技術総合研究所 羽成 修康 氏をゲスト講師にお招きして、最新の水道水質検査の動向と環境分析のトピックスについてお話しいただきました。主な内容は、注目されている代替キャリアガスを用いた試験法の検討や塩素化パラフィンの試験法の検討などをお話しいただきました。
アジレント・テクノロジー(株)・林純薬工業(株)の企業講演では、環境分析、水道水質分析、および試薬などに関する情報をお届けいたしました。
※ご登壇者のご所属、お役職は2021年9月時点のものです。
セミナーレポート
「分析ラボの効率化を加速するこれからのサポートサービスの潮流:デジタルサービスの最新動向とデモンストレーション
登壇者
アジレント・テクノロジー株式会社サポートサービス営業部カスタマサクセスマネージャ田中 敏英 さま
講演内容
分析ラボを効率化する上で、分析装置のメンテナンスは必要不可欠です。本講演では、アジレント・テクノロジー㈱が推進する、デジタルサービスを駆使した「デジタルラボ」についてご説明がありました。IoTセンサーやAI導入などデジタルサービスの活用により、分析装置の不具合の兆候を察知する「予知保全」が可能となります。
「予防保全とセルフサーブ(問題の自己解決)」をキーワードに、新たな顧客体験として 「Smart Alert(スマートアラート)」「Agilent Community(アジレントコミュニティ)「Cross Labo Virtual Assist(クロスラボバーチャルアシスト)」の3つのサービスをご紹介されました。
最後にトラブル発生からCross Labo Virtual Assistによるお客さまとエンジニアの情報共有から、トラブルシュートまでの工程をデモンストレーションにて実演されました。
特別講演 「塩素化パラフィン分析値の信頼性向上を目指した活動:現状の規制動向を踏まえて」
登壇者
産業技術総合研究所 計量標準総合センター物質計測標準研究部門・有機組成標準研究グループ 羽成 修康 さま
講演内容
本講演では塩素化パラフィンを取り巻くPOPs条約などの規制や動向、分析の難しさ、分析値の信頼性向上を目指した産業技術総合研究所さまの取り組みについてご説明いただきました。塩素化パラフィンはISOなどで分析方法が確立されてはいるものの、分析は困難を極めます。その理由として、主に以下の問題点を挙げられました。
- ・LCカラム、GCカラムともに異性体分離が困難である
- ・標準物質の開発が困難である
- ・生成イオン種の設定が困難である
- ・干渉の排除するためには高い分離能が必要である
- ■分離の問題
- 塩素化パラフィンは異性体間の物性差がほとんどなく、LCカラム、GCカラムともに分離が困難である。
- ■標準品による精確な定量の問題
- 精確な定量にはほぼ同等の同族体組成をもつ標準品が必要だが、その実現は実質的に不可能である。
- ■定量イオン・参照イオンの設定の問題
- 生成するイオン種が異性体によって変化する、イオン化法や機器によって定量イオン・参照イオンの設定が異なる、一部の単品標準品ではLC・GC間で検出強度が大きく異なる、などの問題がある。
- ■相互干渉・妨害物質による干渉の問題
- 短鎖間及び中鎖からの干渉やPCBなどの影響を排除するためには、非常に高い分解能が必要になる。
「分析値の信頼性を向上させるための活動」として産業技術総合研究所が過去3回にわたって行った共同分析についても言及されました。また、その結果導き出された、ユーザーが選択すべき条件についてもご説明いただきました。
- ・同族体組成比が明示されている標準物質
- ・分析試料のマトリクスや、含まれる分析妨害物質
- ・試料マトリクスや分析妨害物質に応じた分析方法の選択
- ・標準物質と分析試料中の同族体組成比の一致度
- ・必要な分析精度
最後に、環境媒体ごとのCP組成に合わせた標準物質調製が困難である、という今後の課題についてもご説明いただきました。塩素化パラフィンに関する最新の研究動向や課題がわかる、非常に有益な講演となりました。
【羽成 修康さまセッション】「塩素化パラフィン分析値の信頼性向上を目指した活動:現状の規制動向を踏まえて」
羽成 修康さまセッション「塩素化パラフィン分析値の信頼性向上を目指した活動:現状の規制動向を踏まえて」を期間限定特別編集し1ヶ月限定の動画としてご用意しました。
※諸般の事情により公開終了日時が変更となる可能性がございます。
DAY1の4月 25日(火)水道水質分析編のオンデマンド配信についてはアジレント・テクノロジー株式会社ウェブサイトにてご確認ください。
https://www.chem-agilent.com/seminar/detail.php?event=452bf53d82085「試薬のもっと上手な使い方~その②希釈のポイント~」
登壇者
林純薬工業株式会社試薬化成品部 原田 修一
講演内容
試薬の効果的な使用方法(溶媒、容器、希釈作業)について説明いたしました。当社が推奨する、残留農薬分析用で使用する溶媒「LC/MC用溶媒」は、低濃度分析において他の化合物に影響を及ぼさない特性を持ち、一般的なHPLC用溶媒よりも微粒子や不純物、金属イオンを低減します。ただしメタノールやアセトンなどを用いる際には、測定結果を左右する反応が起こるため、組み合わせに注意する必要があります。
容器の選定基準としては、「試薬の品質に影響を及ぼさない」ことを軸にお話いたしました。昨今のガラス製バイアルでは、メーカーの加工技術向上や薬品の塗布により、従来の課題であった「内部の凹凸への化合物吸着」を克服した製品が製造されています。
希釈作業については、分析結果の精度と再現性を保証するにあたり、測定時の溶媒は統一されたものを使用することが重要とお伝えしました。
「環境分析関連試薬のご紹介」
講演の後半では、林純薬の環境分析関連試薬についてご紹介しました。
当社が販売する環境分析関連試薬
「LC / MS分析の最前線②~環境中汚染化学物質:塩素化パラフィン(CP)の分析~」
登壇者
アジレント・テクノロジー株式会社アプリケーション担当滝埜 昌彦 さま
講演内容
LC-MSによるCPsの定量分析法が開発され応用が進んでいる背景を受け、アジレント・テクノロジー(株)が検討を行った、底質中の塩素化パラフィン(CPs)のLC-MSによる定量分析法についてお話いただきました。
Agilent 6546 LC/Q-TOF及びAgilent 6470 トリブル四重極LC/MSによる塩素化パラフィンの分析結果を取り上げ、いずれのシステムを用いてもESI法はLC-MSのイオン源として汎用的であり、組成比率が既知のSCCPs標準液を用いることでESI法でもSCCPsの定量分析が可能であるなど、詳しい測定数値に基づいてご説明いただきました。
■「GC / MS分析の最前線③~大気中PFASなど今後の規制物質の分析に適したアジレントGS / MSソリューション~」
登壇者
アジレント・テクノロジー株式会社ラボトリーソリューション営業本部 GC/GC/MS営業部門福地 敏治 さま
講演内容
各種規制物質や大気中PFASなど、今後の規制物質の分析に適したGC/MSソリューションをご紹介いただきました。
新製品の「Hydroinertイオン源」は、水素キャリアガスに伴う感度の低下やスペクトル変化の低減に有効であり、多機能加熱脱着装置である「GERSTEL MPS robotic TDU2」は、サンプルの濃縮、高感度分析が可能です。大気中のPFASを効率よく濃縮できる「PFASサンプラーFM4」の他、高い環境意識をサポートする「アジレント認定整備済機器」、「MassHunter判定レポート機能」にも言及されました。
トークセッション
登壇者
産業技術総合研究所 羽成 修康 さまアジレント・テクノロジー株式会社 滝埜 昌彦 さま 福地 敏治 さま 中井 隆志 さま 林純薬工業株式会社 原田 修一ファシリテーター:林純薬工業株式会社 小西 博史
前半は、ご講演について視聴者さまから事前にいただいていた質問への回答を中心に展開されました。また後半はご登壇いただいた皆さまで相互に質問を交わしつつ、さまざまな観点から意見交換がなされました。環境分析に関する最新動向が分かる、有意義なトークセッションとなりました。