情報誌 HPC NEWS vol.27 食品・環境分析の最新技術や話題をご紹介

情報誌 HPC NEWS vol.27

電気化学検出HPLCシステムの最適化のためのFUMI理論による精度予測の活用

東京薬科大学薬学部 小谷 明

はじめに

分析機器の性能評価,測定装置の開発,研究開発のための分析条件の設定,あるいはルーチン分析の測定条件の設定などの過程において,ノイズレベル,相対標準偏差(RSD)や検出限界などが指標として扱われる。信頼性の高いRSDや検出限界を求めるには数多くの繰り返し測定(n=50~100)を行う必要があるが, HPLCのように1回の測定に少なくとも数十分程度の時間を費やす場合, 同一試料について多くの繰り返し測定を行うことは,時間的に制約される。

このため3~10回の繰り返し測定から求めたRSD,S/N比から求めた検出限界を用いて分析機器の評価を行っているのが現状である。

このような背景があって,ケモメトリックスの観点で,繰り返し測定なしに精度を予測する方法に期待がよせられている。繰り返し測定を行わずにRSDを求められれば,測定装置の改良や条件の検討のための実験時間を短縮でき,測定に要する溶媒や試薬の量を軽減でき,さらに測定者の人件費の削減をすることも可能である。

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