情報誌 HPC NEWS vol.25 食品・環境分析の最新技術や話題をご紹介

情報誌 HPC NEWS vol.25

GC/MSによる食品中残留農薬分析におけるサロゲート物質の利用

愛知県衛生研究所 上野 英二

はじめに

食品の安全性に対する関心の高まりを背景の一つとして食品衛生法による規制農薬数は、平成5年以降の十年間に203農薬が追加されて、平成15年6月末現在229農薬にまで達している。

農作物に使用される農薬は、国内では300種類を超え、全世界では700種類を超えるとも言われており、また、中国産冷凍ほうれんそうなどの輸入食品における基準値超過や国内産地での殺菌剤カプタホール、殺ダニ剤シヘキサチンなどの無登録農薬の使用発覚などにより残留農薬に対する消費者の関心がいっそう高まっていることから、国は今年度から3年をめどに、さらに約200種類の農薬について基準値の設定作業を進め、その作業終了後、「基準値の設定されていない農薬が検出された食品はすべて食品衛生法違反を問えるものとする」、いわゆるポジティプリスト制に移行する方針を打ち出しており、今後も残留農薬規制は強化拡大されていくと予想される。

衛生研究所などの公的検査機関では、限られた機器と労力で多くの検査業務を遂行することは非常に困難な状況となっており、定量性に優れた迅速な一斉分析法が必要となっている。

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