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【人工液 評価方法事例】人工指紋液 垢成分
~スマートフォン用保護フィルムの耐指紋性評価~
指紋成分に近い「人工指紋液 垢成分」の評価方法のご紹介
人が手で触れる製品に欠かせない耐指紋性の評価
スマホやタブレットなどのタッチパネル、ディスプレー、家電製品など、人の手が触れる製品には、「指紋の汚れ」による外観や視認性の低下の問題があります。
指紋は、油脂、水分、タンパク質など複数の成分(主に垢成分)からなり、各製品に付着すると乱反射を起こして汚れが目立ちやすくなります。
したがって、各製品には、指紋の付きにくさや目立ちにくさ、また拭き取りやすさなど、耐指紋性に関する機能が求められます。
同時に、新製品の開発や品質管理にあたっては、耐指紋性に関する評価が欠かせません。
しかし、現状では、耐指紋性の評価方法は規格化されていないため、自ら評価方法を確立、構築していくには手間がかかります。
さらに、妥当性をより担保するためには、どのような試験液を用いるかが重要となります。
ここでは耐指紋性の評価方法事例をご紹介いたします。
指紋成分に近い「人工指紋液 垢成分」
耐指紋性(視認性と拭き取り性)の評価に適した試験液である「人工指紋液」はご存じでしょうか。
当社の「人工指紋液 垢成分」は、JIS規格を基に開発したものであり、オレイン酸など複数の成分を含む人の手脂成分に近い試験液です。
手脂成分に近い人工指紋液を用いることで、評価の妥当性をより担保することができます。
耐指紋性をはじめ、さまざまな指紋の汚れに関連する評価にご活用ください。
なお、今回対象とする耐指紋性の評価は、視認性と拭き取り性の評価となります。指紋が付着した際のひび割れや劣化・変色などに対する耐久性の評価ではありません。
製品特長
- ・人の手脂成分に近い組成(参考:JIS C 9606-2007)
- ・成分比率などカスタマイズも可
使用例
- ・耐指紋性の評価
- ・指紋の拭き取り性評価
「人工指紋液 垢成分」による耐指紋性の評価方法
今回、当社の「人工指紋液 垢成分」を用いて実施した評価方法は、以下の特徴があります。
- ・「人工指紋液」の成分が指紋の成分に近いため、評価の妥当性が担保できます。
- ・機械を使わず、簡単かつ取り組みやすいため、評価作業をスムーズに行うことができます。
- ・視認性による評価が可能であるため、信頼性の高い評価ができます。
市販のスマートフォン用保護フィルムの評価事例のご紹介
市販のスマートフォン用保護フィルムに対し、実際に当社の開発した評価方法により、耐指紋性(視認性と拭き取り性)の試験を行った結果をご紹介します。ぜひご活用ください。
評価の目的
- ①視認性の評価
- ガラス板を基材とし、各種フィルム(評価対象となる部材)を張り付けて、人工指紋液をスタンプした際の外観の差異から、視認性を確認する。
- ②拭き取り性の評価
- ガラス板を基材とし、各種フィルム(評価対象となる部材)を張り付けて、人工指紋液をスタンプし、拭き取った際の外観の差異から、指紋の拭き取り性を確認する。
必要なもの
- 1)各種フィルム 「フィルムA」 「フィルムB」 「フィルムC」(評価対象となる部材)
- ・フィルムA=素材:PET
- ・フィルムB=素材:PET、シリコン樹脂
- ・フィルムC=素材:日本製ガラス
- 2)ガラス板(基材)
- 3)「人工指紋液 垢成分」(林純薬工業製)
- 4)紙ウエス
- 5)マイクロピペット
- 6)マイクロスコープ
評価手順
STEP 1
【試料の作製】フィルム切断しガラス板上に載せる。
半分から上側のフィルムとガラスの境界部を視認性の確認に使用し、半分から下側のフィルム及びガラス部を拭き取り性確認に使用する。
STEP 2
アルコールで脱脂した指に、マイクロピペットで0.5μL採取した人工指紋液※1を滴下し、なじませる。
※1 液温 24℃
STEP 3
STEP1のガラス板とフィルムの境界部に人工指紋液をそれぞれスタンプする。
(上側)ガラス板とフィルムの境界部 【視認性の評価】
(下側)ガラス板上とフィルム上の各々 【拭き取り性の評価】
視認性の評価
人工指紋液をスタンプしたガラス板とフィルムの外観の差異から視認性を確認する。
拭き取り性の評価
人工指紋液をスタンプしたガラス板とフィルムについて、それぞれ紙ウエスを用いて規定の拭き取り方向に5回拭き取り作業を実施する。その後、外観の差異から拭き取り性を確認する。
拭き取り試験 実施状況
拭き取り回数:同方向5回
評価結果
人工指紋液をスタンプした際と拭き取りした後、マイクロスコープにより視認性と拭き取り性を評価した。
視認性の評価
視認性の順序※2は以下のとおり。
「フィルムB」>「フィルムC」 ≧ 「フィルムA」※3 > ガラス材
- ※2 指紋残り 少>多
- ※3 「フィルムA」はフィルムそのものが白濁しているため、スマートフォン自体の画面の見やすさを考慮すると、「フィルムC」の方が目立ちにくい。
視認性の評価 フィルムA
スタンプ前
スタンプ後(拡散光)
スタンプ後(リング照明)
視認性の評価 フィルムB
スタンプ前
スタンプ後(拡散光)
スタンプ後(リング照明)
視認性の評価 フィルムC
スタンプ前
スタンプ後(拡散光)
スタンプ後(リング照明)
拭き取り性の評価
拭き取り性の順序は以下のとおり。
「フィルムC」>「フィルムA」 ≒「ガラス材※4」> 「フィルムB」
※4「フィルムA」とガラス材の間で明確な差異は確認されなかった。
視認性の評価 フィルムA
フィルムふき取り後(拡散光)
フィルムふき取り後(リング照明)
視認性の評価 フィルムB
フィルムふき取り後(拡散光)
フィルムふき取り後(リング照明)
視認性の評価 フィルムC
フィルムふき取り後(拡散光)
フィルムふき取り後(リング照明)
林純薬工業の人工液シリーズ
林純薬工業では、人工指紋液をはじめ各種JIS規格に基づいた多彩な人工液のラインアップをご用意しています。今回、ご紹介した試験方法以外のお客様独自の試験法に適した組成や濃度、規格のご相談も業界・分野問わず承っております。
製品や試験法についてご質問、詳細のご説明をご希望の場合はお気軽にお問い合わせください。