特別寄稿
2024.04.18
試験所の信頼性保証とリスク管理~ 新任のラボ管理者と試験者の方へ ~ ホクレン農業協同組合連合会 農業総合研究所 食品検査分析センター 石渡 智氏
- 分析化学
- ヒューマンエラー
- 精度管理
- ISO規格
はじめに
あなたは自分の出した分析結果が正しいと胸を張って言えるだろうか。言えるとして、その根拠は示せるだろうか。
私は分析化学に携わって20 年程になるが、日々この問答の繰り返しであり、分析化学の基本は疑うことだとすら感じている。分析結果は単なる数字であり、一見して正しいかどうか分からないのは辛いところかもしれない。
正しい分析結果を出すためには正しい手順を確立する必要があり、そこからの逸脱があってはならない。「手順が正しいこと」「逸脱がないこと」を客観的に証明できて初めて分析結果は信頼されるだろう。試験所が信頼を得るためには、正しい結果を出す能力を持つことが不可欠だ。
しかし、能力があっても法令違反や労働災害が続発するような試験所には誰も検査を依頼しないはずだ。
本稿ではいわゆる精度管理の取り組みに限らず、信用失墜に繋がるリスクの管理についても話題を広げたい。