イオンクロマトグラフィー

イオンクロマトグラフィーとは

  • ・イオンクロマトグラフィーは、液体クロマトグラフィー試料溶液中の各種イオンを分離カラム内で、イオン交換樹脂に対するイオンの相対親和力の差を利用して分離した後、個々のイオンを順番に検出器で測定することにより、イオン種の定性・定量を行う分析方法です。
  • ・イオンクロマトグラフィーを用いて定性・定量を行う場合は、測定目的成分が明確であること、及びその目的成分の標準物質が入手できることが前提です。通常未知成分の定性には適していませんが、イオンクロマトグラフィー検出器として質量分析計との組み合わせにより、未知成分の定性ができる場合もあります。

イオンクロマトグラフィーの測定原理

  • ・イオンクロマトグラフィーでは、イオン成分の分離は、固定相としてイオン交換樹脂が充填されたカラムで行われます。試料注入部から注入された試料は、移動相である溶離液によってカラムに運ばれます。
  • ・試料中の分離されたイオンは、カラム内のイオン交換樹脂との相対親和力の差により、カラム内を移動する速度が異なるため、カラムを通過する間にイオン成分が分離されていきます。
  • ・検出器は通常、電気伝導度検出器を使用し、イオン化されている成分のみ検出します。

イオンクロマトグラフィーが測定できる成分とは

  • ・イオンクロマトグラフィーは、主に無機の陰イオン(塩化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなど)、及び陽イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンなど)を測定が可能です。
  • ・また、ぎ酸などの低級有機酸、テトラメチルアンモニウムなどの低級アミン類なども測定が可能です。

イオンクロマトグラフィーの使用範囲

  • ・イオンクロマトグラフィーは、環境測定、品質管理、研究開発など多岐にわたる分野で使用されています。
  • ・上水試験方法、食品添加物公定書、JISなどの様々な公定法や食品分析法にも採用されています。

標準液(検量線用溶液)の使用上の注意

  • ・標準液を希釈する水は、JISK0557(用水・廃水の試験に用いる水)に規定するA2~A4の水又はこれと同等以上の水を使用します。
  • ・標準液の保存には、ポリエチレン製又は四ふっ化エチレン樹脂(PTFE)製などの気密容器を使用します。
  • ・通常、冷暗所に保存すると数ヶ月間は安定です。但し、シアン化物イオン標準液、亜硝酸イオン標準液、炭酸イオン標準液、塩素酸イオン標準液及び亜塩素酸イオン標準液は、経時変化しやすいため、開封後はできるだけ速やかに使用して下さい。

検量線用溶液(1,000mg/L)

a)ふっ化物イオン標準液
44004243 GR ふっ素標準液 1mg F/mL (1,000ppm) 100mL
44007215 GR ふっ素標準液 1mg F/mL (1,000ppm) 500mL
b)塩化物イオン標準液
44007243 GR 塩化物標準液 1mg Cl/mL (1,000ppm) 100mL
44007255 GR 塩化物標準液 1mg Cl/mL (1,000ppm) 500mL
c)シアン化物イオン標準液
44007173 GR シアン標準液 1mg CN/mL(1,000ppm) 100mL
44011285 GR シアン標準液 1mg CN/mL(1,000ppm) 500mL

引用文献

  • ・JIS K0127 イオンクロマトグラフィー通則
  • ・JIS K8001 試薬試験方法通則 附属書JB.2.35 イオンクロマトグラフィー