情報誌 HPC NEWS vol.50 食品・環境分析の最新技術や話題をご紹介

情報誌 HPC NEWS vol.50

残留農薬一斉分析におけるAnalyte Protectantsの利用について

JAあいち経済連 営農支援センター 永井 雄太郎

はじめに

GC測定の際には、マトリックスの影響による異常回収率、特に回収率が高くでる増感効果が問題になることが多い。増感効果のメカニズムは、次のように説明されている。

「有機溶媒で調製した標準溶液では、注入口やカラムに存在する活性点が分析対象成分の分解や吸着を引き起こすのに対し、試料液では、試料由来のマトリックス成分が活性点を塞ぐことで分解や吸着が抑制される。その結果、試料液では、標準溶液に比べより多くの分析対象成分が検出器に到達することになり、レスポンスが高くなる」。増感効果を回避するために、マトリックス検量線やサロゲートによる補正等様々な方法が試みられているが、その一つに疑似マトリックスの利用がある。

疑似マトリックスは、活性点を塞ぐことができる極性化合物で、試料液と標準溶液両者に添加することで、同程度に分解や吸着を抑制し、異常回収率の発生を防ぐことができると考えられている。

EU における2018 年版“残留農薬分析のための分析的品質管理および分析法バリデーション手順のガイダンス”の紹介

残留農薬分析国際交流会 廣田 政隆

はじめに

このガイドラインSANTE/11813/2017「Guidance document on Method Validation & Quality Control Procedures for Pesticide Residues Analysis in Food & Feed(食品と飼料中の残留農薬分析のための方法の妥当性確認(以下、バリデーションに統一)と品質管理手順のガイダンス文書)」1)は、残留農薬分析を行うための必要な基本的な事柄が試料採取から報告までに渡って記述されています。

ガイドラインは1999年から数年ごとに規制の変化、残留分析技術の進歩に伴って改訂されています。これらの過去のガイドラインについては、ホームページ2)で追跡することができます。
残留農薬分析に携わっておられる初心者から経験者まで一度は読んでおかれることを推奨します。初心者は残留農薬分析に係る必要な事項の確認、経験者はもう一度残留農薬分析に必要な事項を見直すには適切なテキストになるのではないかと思います。

注)本文1)で引用しております本ガイダンスの最新版(2023/12/11に確認)

※外部PDFリンクへ遷移します。

注)本文2)で引用しております本ガイダンスの最新版を掲載のHP(2023/12/11に確認)

詳しくはPDF資料をご覧ください。