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情報誌 HPC NEWS vol.49

農薬等のポジティブリスト制度および健康被害事案と分析法

愛知県衛生研究所 食品監視・検査センター 上野 英二

はじめに

近年、食品を取り巻く不祥事が相次いで発覚し、「食」の安全・安心への関心がこれまで以上に高まっている。農薬関連では、平成13(2001)年12月以降に中国産冷凍ほうれんそうなどの輸入農産物において残留基準値を超過する事案が数多く報告され、また、平成14(2002)年8月以降、農薬登録が失効したダイホルタン(成分名 カブタホール)、プリクトラン(成分名 シヘキサチン)などいわゆる無登録農薬が輸入され、使用されている実態が次々と発覚して農産物が回収・廃棄されている。

こうした情勢に対処するため、農薬取締法が改正され、平成15(2003)年3月に農薬の適正使用に違反した場合の罰則などが強化された。

さらに、同年5月に食品安全基本法が制定され、リスク評価を科学的知見に基づき客観的かつ中立公正に行う機関として、内閣府に「食品安全委員会」が設置されるとともに、食品衛生法も大きく改正され、3年の猶予期間を経た平成18(2006)年5月より、残留基準が定められている農薬等のみを規制対象とする従来のネガティブリスト制度から、残留基準が定められていない農薬等についても一律基準(0.01ppm)を設定し、原則として規制するポジティブリスト制度に移行した。

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