情報誌 HPC NEWS vol.33 食品・環境分析の最新技術や話題をご紹介

情報誌 HPC NEWS vol.33

米国に於ける残留農薬分析に対するGoodLaboratory Practice(GLP),Oual ity Assurance(QA)について

カリフォルニア大学デービス校 環境毒性学部 柴本 崇行

はじめに

米国では1980年代後半頃からGLP,QA(品質保証)の必要性、重要性について次第に厳しく議論される様になった。ことの起こりは、研究報告に対するデータの信用性が一国会議員によって1980年代に取り上げられたことである。多分、内部告発によるものと思われるが、政府の研究費で遂行された研究報告のデータに対する信用性が問題になったことがある。

それ以来、データの信頼性を高める為に所謂GLPの導入、それを監視する組織Quality Assurance(QA)の重要性がやかましく言われる様になった。始めのうちは神聖な研究者の研究態度を疑うものであり、その様な侮辱には耐えられないと、かなり多くの研究者からGLP,QAの導入には強い抵抗があった。

しかし、GLP,QAの導入は時代の流れであり、あらゆる分野に於いて強力な組職が形成されているのが米国の現状である。特に政府の関係官庁との契約研究(contract research)に関しては一例えば農務省(USDA)のIR-4 Program(農薬登録支援研究;詳しくは拙稿USDA IR-4 Program. HPC News 2000, 14, 2-7をご参照下さい)一非常にはっきりしたGLP,QAが確立されている。従って、lR-4 Programの組織を例に米国に於けるGLP,QAの現状をここに紹介する。

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