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情報誌 HPC NEWS vol.30 食品・環境分析の最新技術や話題をご紹介
リンゴ果実飲料中カビ毒パツリンの分析
星薬科大学 薬品分析化学教室 伊藤 里恵はじめに
マイコトキシン(Fig.1)とは、カビなどの真菌類の第二次代謝産物のうちで、ヒトあるいは家畜、魚類など高等動物に対して、急性もしくは慢性の生理的、病理的(機能的、器質的)障害を与える物質の総称である。
イギリスにおいて七面鳥のヒナの大醤死事件(1960年)はアフラトキシンが原因であったが、この事件がカビ毒の脅威を世界的に知らしめる契機となった。日本においては、第二次世界大戦後、東南アジア、エジプト等から輸入した米から肝臓障害を引き起こすカビ毒産生菌が発見された「黄変米」事件が契機となり、カビ毒に対する規制がされてきた。
これまでマイコトキシンの規制は、その事件の原因菌であったアフラトキシンのみに限定されていた。しかし、諸外国においてば自然毒としてのマイコトキシンは非常に重要視されており、他のマイコトキシンにおいても、そのリスク評価及びリスクマネージメントの実施が望まれ、その検討が進められている。そこで近年、日本においてもデオキシニバレノールやパツリンの規制が注目を集めてきた。
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