核酸医薬品の基礎知識

目次

核酸とは

核酸とはデオキシリボヌクレオチド(DNA)とリボヌクレオチド(RNA)の総称を指し、遺伝情報の保存や発現に関与する生体高分子です。

DNA(デオキシリボヌクレオチド)

DNAは、2’-デオキシリボースとリン酸の繰り返し構造を主鎖に持ち、遺伝情報のもととなる核酸塩基は2’-デオキシリボースの1’位に連結されています。
また、DNAは2本の鎖が逆並行となる2重鎖を形成しており、塩基対を形成することで相補鎖の塩基配列が、鋳型鎖の塩基配列により規定されています。

RNA(リボヌクレオチド)

RNAは、DNAにとてもよく似た化学構造をもちますが、①糖がリボースである、②ウラシルを核酸塩基にもつ、という2点が異なります。また、RNAは、DNAを鋳型として合成されているため、多くの場合、相補鎖をもたず一本鎖の状態でさまざまな活性を発揮します。

核酸医薬品が注目される理由

核酸医薬品(Oligonucleotide Therapeutics)とは核酸(DNAやRNA)を基本骨格とする医薬品です。従来の小分子薬や抗体薬とは異なり、タンパク質をコードせず、核酸そのものが機能を持つ医薬品の総称になります。
二重鎖形成能を利用することにより、核酸を基本骨格に持つ核酸医薬品は、疾患関連遺伝子の活性を選択的に阻害できる薬剤をデザインすることができます。そのため、遺伝子の変異により引き起こされているがんや神経変性疾患、成人病など、さまざまな疾患に対する、次世代の分子標的薬として大変注目されています。

核酸医薬品をはじめとする創薬モダリティの流れ

創薬モダリティは、1980年頃の有機合成化学の進展による低分子医薬品創薬から、2010年頃の核酸工学の進展による核酸医薬品創薬への変貌が顕著になっています。
創薬モダリティは、有機合成化学を基盤とする化学合成により製造される創薬と、バイオテクノロジーを基盤とする生物生産により製造される創薬の2種類に大きく分けられ、核酸医薬品の多くは有機合成化学を基盤として製造されます。

年代別推移

核酸医薬品の種類・特長

核酸医薬品には直接メッセンジャーRNA(mRNA)などに作用するsiRNA、アンチセンスなどの種類があります。また、核酸そのものが抗体のような作用を持つアプタマーなどの種類もあります。
構造や標的、作用機序の違いなど、さまざまな種類がありますが「細胞の内側で機能」と「細胞の外側で機能」の2つの大きなカテゴリーに分類することができます。

細胞の内側で作用する核酸医薬品例

メッセンジャーRNA(mRNA)に結合してタンパク質の翻訳(合成)を阻害するアンチセンスや、mRNAを破壊することで、配列特異的に遺伝子の発現を抑制するsiRNA(small interfering RNA)など。

細胞の外側で作用する核酸医薬品例

標的となるタンパク質や細胞表面の分子に結合し、その機能を阻害するアプタマー(aptamer)など。

主な核酸医薬品の種類

これまでに報告されている核酸医薬品には、1本鎖核酸を化学構造の母核にもつアンチセンス核酸、アプタマー、ならびに2本鎖核酸を母核にもつsiRNA、デコイ核酸があります。日本ではこれまでに、Macugen(2008年、アプタマー)、Spinraza(2017年、アンチセンス)、Onpattro(2019年、siRNA)、Givlaari(2021年、siRNA)、Viltepso(2020年、アンチセンス)、Leqvio(2023年、siRNA)、Amvuttra(2022年、siRNA)などの核酸医薬品が承認されています。特に2020年に発売されたViltepsoは日本で初めて開発された国産第1号の核酸医薬品として注目されており、開発者と開発企業には日本核酸医薬学会から特別賞が授与されています。

種類 構造 標的 作用部位 日本で承認された
核酸医薬品
アンチセンス(核酸) 1本鎖DNA/RNA
13-25塩基
・mRNA
・Pre-mRNA
・miRNA
細胞質内
核内
・Spinraza(2017年)
・Viltepso(2020年)
siRNA 2本鎖RNA
21-23塩基
mRNA 細胞質内 ・Onpattro(2019年)
・Givlaari(2021年)
・Amvuttra(2022年)
・Leqvio(2023年)
miRNA 2本鎖RNA mRNA 細胞質内
デコイ核酸 2本鎖DNA 転写因子 細胞質内
核内
アプタマー 一本鎖DNA
またはRNA
蛋白質 細胞外
細胞表面
Macugen(2008年)
CpG オリゴ 1本鎖DNA TLR9タンパク質 細胞表層

出典:国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部(2024年6月15 日更新)より一部抜粋

核酸医薬品の可能性

核酸医薬品は、低分子医薬品と同じように化学合成でつくることができます。核酸合成機で人工的に作るため、品質的には安全性が高く、規格化も容易です。mRNAの特異配列のように従来の医薬品とは全く異なる分子を創薬の標的としているため、特異性が高く、遺伝性の希少疾患(脊髄性筋萎縮症やデュシェンヌ型筋ジストロフィー)をはじめ、低分子医薬品や抗体医薬品では治療が難しかった疾患の医薬品として誕生しています。

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